並木橋の連続居 CONSECUTIVE RESIDENCES OF THE NAMIKI-BASHI

53年というおそらく渋谷で最も古い鉄筋コンクリート造の集合住宅野村ビルのリノベーション130m2に満たない大きさに3名の家族で工夫をしながらどうにか住んでいたのを隣室を借りて連続する2室で暮らすその暮らし方から一緒に考えてほしいという依頼だった1室は50年前の内装のままで3人の生活が地層のように積層していた隣室はオーナーの手でリフォームされた特徴のないワンルームだった

オリジナルの内装は欄間で3つの領域に分かれていて欄間下で1,750mmのスケールだった空間の重心を落とす欄間と回り縁があるだけで空間に水平的な広がりを感じるのは団地でも経験済みだがさらに特徴的なのは欄間に空気穴が空いていることだ聞けば石炭ストーブやキッチンコンロの不完全燃焼による一酸化炭素中毒を防ぐための初代オーナーのこだわりということだが風通しのよさへのこだわりが間取りからディテールまで執念深く連続するのが素晴らしいと思ったところが欄間を取ってさっぱりしてしまった隣室はやっかいなことにまるきりスケール感が違ってきている今回リノベーションするにあたってスケール感の異なる2室でひとつの器とする上では統一でも分節でもない断続的なワンルームということをコンセプトとした

ディテールについては断続がテーマなので俯瞰的に物事を観ずなるべくオリジナルのディテールの痕跡を信頼するようにしていちばん近くにある素材や色やスケールに応答するように部位ごとにディテールを決めていった.

・掲載
新建築 20142月号」