葵メディカルアカデミー AOI Medical Academy

 103

AOI Medical Academy

・医療福祉系専門学校の新築プロジェクト

・専門学校のアクティビティを立体的に積層させ、郊外都市の駅前に人間の活動が重なった

 新しいランドマークをつくる

・「廊下のないプラン」による創造的な学びの場

・インナーバルコニーを積極的に設け、外部空間を活用した計画

・パブリックゾーンを1・2階と屋上階に設け、地域に開かれた学校を実現

008011
過剰さが生む都市への広がり
医療系専修学校の移転プロジェクト.敷地は埼玉県・深谷の駅前徒歩3分という好立地だったが,課題が大きくふたつあった.
ひとつ目の課題は「規模」である.移転前の学校は延床面積が2,610m2あったのだが,移転先の敷地では許容容積一杯に建てても1,960m2までしか建たない.医療系専修学校は医療法に基づく設置指針で必要諸室や大きさが厳しく定められており,それは概ね生徒数に応じて決まるのだが、現況の生徒数で助成金を受けているため生徒数は維持したいとのことだった.これは教育の規模は維持しつつ,建築の規模の発想を大胆に転換することが求められた.
ふたつ目は「地方都市における新しい建築のチャレンジ」.移転前の建築は,鉄骨ラーメン+ALC外壁+アルミサッシポツ窓開口という,郊外都市に多くみられるハコ建築の仕様だった.敷地周辺もここ10年に建った建物はすべて鉄骨造+ALC外壁だった.施主からは経済合理性は大事だが,街を元気にするインパクトのある設計をしてほしいとリクエストがあった.人口減少と東京への一極集中によって困難さに直面する地方都市に新しい建築タイポロジーを提案することが求められた.
設計プロセスとしては,まず徹底的に医療系専修学校の実情をリサーチした.分かったのは,高校や大学とは異なった使われ方だ.専修学校の学生は,入学してすぐに夜遅くまで自習するようになる.自分が集中できる環境を見つけたらどこでも自習室として使いこなす.一方,設置指針上は必要だが,ほとんど使われていない機能室があることも分かった.年に2回の式典でしか使わない講堂や蔵書数が必要数より極端に多く要求されるライブラリー,いくつかの特殊な訓練実習室などである.
 
われわれの提案はすごく単純なアイデアに基づいている.まず通路を極限まで圧縮した.教室は個人ロッカーのあるホームベースとして扱い設置指針ギリギリの大きさとし,その極小の教室フロアを多用途に使える実習室フロアで挟み込むようにスタックした.実習室は断面も平面もできるだけ大きな空間とした。極小に教室を抑え、ガランとした実習室を断面的に近接させることで、学生が階段を上り下りしながら、快適な場所を探していく立体的な動きを生む狙いだ.
講堂はあえて1階に設置し,ロビーとライブラリーと職員室とを近接させながら、吹抜けを介して一体のラウンジとして機能するようにした.これら全体をオープンライブラリーとして扱い蔵書の規模に応答するようにしつつ、一階に人の活動の溜まりをつくることで、都市と建築を繋ぐ狙いがある。
最小限の居室群を近接かつスタックさせ、お互いが機能や領域をカバーしあうことで規模の問題に応えようといことを考えていったのだが、人を活発に動かすには上下の動線が重要になる,そこで内部階段以外に、「バルコニー」と「外階段」を床にカウントされない範囲で最大限大きく確保し、これを半屋外の中間領域兼縦動線として扱った。
<最小限>の合理的な教室や廊下、<最大限>確保したラウンジ的な実習室やガランとした空間の繋がり、半屋外の動線空間というように、<最小限>という透明性・合理性と,<最大限>という過剰さ・開放感が同居する,いびつな状態で定着している.
このことによって、ALCのハコ建築では発生しえなかった内部環境が外部投げ出された近接した関係や、都市と建築の活動の連続性、中間領域が建築全体に立体的に絡みつくような新しい建築のつくりかたができるのではないかと期待している。
プログラムから考えた建築の組み立て方でインテリアで閉じず,都市環境に向かって広がっている躍動やきっかけとしての建築のつくりかたを生み出せないかという試行錯誤である.
(新建築2015年5月号に寄稿)
003

101

005

108

113

111 118

127

037

124

132

133

035s

137

036s 038s
106
▽A-School Under Construction

025

027001020 026   017 012 014 011 008003 004