稲村ガ崎の森の家 Sea / House / Forest

生きる喜びを取り戻す住宅

施主は30代の夫婦と2人の子供である。彼らは東京の下町で暮らしていたのだが、2011年の東日本大震災を経て住宅に対する考え方が大きく変わった。100年先になっても住み続けていくような「人間のための居場所」をつくりあげていく必要性を感じたという。

彼らから私たちに投げかけられた言葉は、たとえば次のようなイメージだ。
村の教会のような場所 森に入っていくベースキャンプ
地野菜を食べる食堂

彼らが探してきた土地は、鎌倉をぐるっと囲む山の裏裾にあり、ちょうど森と街の境界に位置しているようにも見えた。

この住宅は街と森の境界を建築化したものであり、住むことと人を迎えること、街の経験と森の経験、光や風、畑作業と日々の暮らし、留まることと動くこと、様々な活動の流れが渦をまくように同居している。多様な活動や感動がひとつの空間に同居できるように、擁壁、半屋外のパーゴラ、木の架構、建具、家具など多要素が織り交ざりながら、相互に影響しあい、おおらかで協働的な状況をつくりだす多言語の建築ということを目指している。