秋月野鳥プロジェクト Akizuki-no-tori project

<土地の潜在的な文脈をみつめる>
福岡県・秋月は筑前の小京都とも言われ、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている一方で、過疎化の進行から消滅可能性都市としても扱われている。歴史を丁寧に読み解いていくと、敷地のある秋月野鳥という地は江戸時代の宿所跡であることがわかった(それゆえに旧街道と新道のいずれにも接道している)。また、手入れされていない雑木の中からは手つかずの江戸時代の水庭が見つかった。

<プログラムが育つ>
こうしたリサーチと並行して、プログラム自体もどんどん変化していく。当初は地域を元気にするようなゲストハウスをつくりたいというような観念的な話だったのが、この地を訪ねてくる人たち
の滞在拠点の必要性、江戸時代の水庭の再生やその水庭を開くことで生まれる新旧の住人の交流、旧街道と新道を結ぶ人の流れ、というようなことがリアリティのあるものとして浮かび上がってきた。

<布石と添石のような有機的に応答する計画>
本プロジェクトでは、
①長屋門としてのゲストハウス
②江戸時代と現代をつなぐ水庭
③水庭をのぞむ東屋
の3つの小さな建築を計画している。これら3つの小さな建築が布石となり、環境が相互に応答しながら連鎖する。
・空間の経験が建築内で完結しないようにシークエンスの中からデザインする
・作庭の飛び石の作法のように、布石と添石のような互助的な関係の建築とする
・建築、植物、地形、地面、水などの異なる属性のエレメントを建築に取り込む
いくつかの単純なプロトコルによって、ランドスケープと建築を一体で計画することを意図している。新しい地域計画の方法につながるような建築デザインの在り方を考えている。

<長屋門 - 人の流れのしくを変える建築->
街道の流れをひきこむ長屋門を計画する。1階は開放されており、庭への門として、また地域の屋外集会所やバスの待合所として使用される。(集会所では歴史学者や観光の千音かを招いたトークイベントが企画されている。)
2階は建主のセカンドハウスであるが秋月を訪れた人々を受け入れる3部屋の小さなホテルとしても使用される。