等々力の二重円環 Double circular rings in Todoroki

東京・等々力に建つ住宅。

等々力の住宅地を歩いていると、ともかく坂道が多い。それもそのはずで、住宅地の真ん中には東京中心部で唯一の「渓谷」がある。つまり住宅地のアップダウンを繰り返すその地形も、氷河が削り取ったもので、1万年というような時間の長さがつくったダイナミックな環境である。「等々力渓谷」を中心とした豊かな環境を維持していくために、この地域では敷地境界からセットバック(壁面後退)すること、と外部空間を緑化することが条例で定められている。

等々力の住宅地ではこの条例を積極的に活用することで、円環状の緑地が連続しながらつながっていく<円環連続緑地>を生み出すことが可能である。

敷地内部の環境を設計するだけではなく、等々力の地形全体が持つ<運動の感覚>と<円環連続緑地>を実感できるような、おおきなコンセプトの住宅にしたいと考えた。

敷地は旗竿状の形をしており、敷地へのアプローチからそのまま敷地の外周を一周できるような「円環状の庭」を持つ。「円環状の庭」は内部の構造体から連続したフレームがあり、内部と外部との中間領域になるようにした。住宅内部は、生活に必要な要素を中心部にまとめ、回廊状にぐるぐる回りながら生活する。

大工がつくる伝統的な木造モデュールの構造のフレームに、ガラスファブに外注したLow-eペアのガラスのカーテンウォールを取り付け、大きな家具で住む場所を設えていくというように、セルフビルド的なつくりかたで住宅を組み立てていった。ほとんどガラス張りの住宅になるが、敷地が奥まって高低差があるのと、円環状の庭が緩衝帯になって不思議と住宅地の環境の中に溶け込んでいる。

工法をシンプルにすることでローコスト化を図り、平面計画もリノベーションやリセールに対応しやすいオープンな空間構成の住宅とした。

 

・掲載
「ディテール 2012年7月号」
「住宅特集 2012年7月号」
「住宅特集 2012年6月号」
「CasaBrutus No.147 カーサブルータス2012年6月号」