内と外の家 House of inside and outside

内と外の家

部屋の集合ではなく、骨でできたガランドウとして住宅をつくれないかと考えた。日本において生活することと建築の関係を支えてきたのは中間的領域だろう。軒下とか縁側とか土間とか続き間とかどれを例に挙げてもよいが、そういった中間的領域が、空間的な魅力ということ以上にそもそも便利であり、我々の暮らしに大変都合よく寄り添ってきた。300年住み続けられる民家は、伝統や美しさによって住み続けたのではなく、やはりある種の合理的な空間の仕組みがそこにあったと考えるべきであろう。中間的領域があることで、生活をする人数も大家族から少人数まで柔軟に対応できるし、家族以外の他者と関わる場所にもなり、周囲の人が自然と集まる居場所になり、住まうだけでなく小さな産業の場にもなった。

この骨でできたガランドウから現代住宅に取組むプロジェクトは、nLDK的な考え方からの離脱をうながす試みである。まず骨組みと気積の大きさから考え、生活のための床や間仕切りや構造の壁は後から考える。床と間仕切りは言ってみれば、付けたしだから、嫌になったら足したり引いたりすれば良い。

日本では80年代くらいから核家族の家族像の崩壊が始まり、2010年代の今では生活の仕方や目指すべき家族像がそれぞれに違うのはもう当たり前になっている。骨でできたガランドウとしての住宅は、ここに生活する人にとって創造的に暮らすためのプラットフォームになる。住宅が束縛ではなくて、自分らしく生きていくための発想の拠点になることを目指した。キッチンや浴室はできる限りオープンな存在としてつくっている。高齢化でヘルパーや介護者が頻繁に住宅を訪れる生活や二世帯居住による大家族な暮らし方、あるいは住宅でカフェやギャラリーや小物屋などの小商いを始めるケース、住宅を集会所としてまちづくり活動をしていくなど、住宅を媒介にして生活が展開してくことを想像しながら設計をしている。

本プロジェクトは、浜松の地場のハウスメーカーと協働しながら取り組んだ。地方では旧来のミニ開発・建売的なビジネスモデルは崩壊しつつある。むしろ取得した土地に一軒一軒注文住宅を提供するという工務店とハウスメーカーの中間的な立ち位置が最注目されている。我々建築家がそういう社会状況にコミットする上では構法にこだわることが一つの突破口になると考えた。

 

ポリラインフレームという試み

骨でできたガランドウは、ポリラインフレームという冗長性を含んだ構法で組み立てられる。日本建築はしばしば田の字プランという平面幾何学から説明されるが、田の字のフレームの小断面の軸模型をつくってみるとフレームだけでは構造的には完全に不成立であり建築を組み立てる基本原理としては採用しづらいことが分かる。ポリラインフレームという考え方は二重線を基本原理とするプランニングの考え方である。二重線で考えると、小断面でも構造的に合理性があり、人の流れ・視線の流れ・空気の流れ・電気や水の流れ、など建築の内包物を流体的なまま思考できる。床や壁は事後的にいくらでも工夫できるし、屋根の高さもフレームごとに自由に変えられる。ポリラインフレームに木造ラーメンとも言えるSE構法を採用することで構造の強さと空間の自由度をさらに高めた。

 

 

掲載:新建築住宅特集 2017年6月号